認知症にんちしょう,知的障害ちてきしょうがい,精神障害せいしんしょうがいなどの理由で判断能力はんだんのうりょくの不十分な方々は,不動産や預貯金などの財産を管理したり,身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約けいやくを結んだり,遺産分割いさんぶんかつの協議をしたりする必要があっても,自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。また,自分に不利益な契約けいやくであってもよく判断ができずに契約けいやくを結んでしまい,悪徳商法あくとくしょうほうの被害にあうおそれもあります。このような判断能力はんだんのうりょくの不十分な方々を保護し,支援するのが成年後見制度せいねんこうけんせいどです。

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 精神上の障害(認知症にんちしょう・知的障害ちてきしょうがい・精神障害せいしんしょうがいなど)により,判断能力はんだんのうりょくが欠けているのが通常の状態にある方を保護・支援するための制度です。この制度を利用すると,家庭裁判所かていさいばんしょが選任した成年後見人せいねんこうけんにんが,本人の利益を考えながら,本人を代理して契約けいやくなどの法律行為ほうりつこういをしたり,本人または成年後見人せいねんこうけんにんが,本人がした不利益な法律行為ほうりつこういを後から取り消すことができます。ただし,自己決定の尊重の観点から,日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については,取消しの対象になりません。(Q2の◇法定後見制度ほうていこうけんせいどの概要がいよう◇をご参照下さい。)

○ 後見開始事例こうけんかいしじれい

ア  本人の状況:アルツハイマー病 イ 申立人もうしたてにん:妻 ウ 成年後見人せいねんこうけんにん:申立人もうしたてにん
エ  概要
 本人は5年程前から物忘れがひどくなり,勤務先の直属の部下を見ても誰かわからなくなるなど,次第に社会生活を送ることができなくなりました。日常生活においても,家族の判別がつかなくなり,その症状は重くなる一方で回復の見込みはなく,2年前から入院しています。
 ある日,本人の弟が突然事故死し,本人が弟の財産を相続することになりました。弟には負債しか残されておらず,困った本人の妻が相続放棄のために,後見開始こうけんかいしの審判しんぱんを申し立てました。
 家庭裁判所かていさいばんしょの審理を経て,本人について後見こうけんが開始され,夫の財産管理や身上監護しんじょうかんごをこれまで事実上担になってきた妻が成年後見人せいねんこうけんにんに選任され,妻は相続放棄の手続をしました。

 精神上の障害(認知症にんちしょう・知的障害ちてきしょうがい・精神障害せいしんしょうがいなど)により,判断能力はんだんのうりょくが著しく不十分な方を保護・支援するための制度です。この制度を利用すると,お金を借りたり,保証人ほしょうにんとなったり,不動産を売買するなど法律で定められた一定の行為について,家庭裁判所かていさいばんしょが選任した保佐人ほさにんの同意を得ることが必要になります。保佐人ほさにんの同意を得ないでした行為については,本人または保佐人ほさにんが後から取り消すことができます。ただし,自己決定の尊重の観点から,日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については,保佐人ほさにんの同意は必要なく,取消しの対象にもなりません。また,家庭裁判所かていさいばんしょの審判しんぱんによって,保佐人ほさにんの同意権どういけん・取消権とりけしけんの範囲を広げたり,特定の法律行為ほうりつこういについて保佐人ほさにんに代理権だいりけんを与えることもできます(※)。


※  保佐人ほさにんの同意権どういけん・取消権とりけしけんの範囲を広げたり,保佐人ほさにんに代理権だいりけんを与えるためには,自己決定の尊重から,当事者が,同意権どういけん等や代理権だいりけんによる保護が必要な行為の範囲を特定して,審判しんぱんの申立てをしなければなりません。また,保佐人ほさにんに代理権だいりけんを与えることについては,本人も同意している必要があります。この申立ては,保佐開始ほさかいしの審判しんぱんの申立てとは別のものです。

ア  本人の状況:中程度の認知症にんちしょうの症状 
イ 申立人もうしたてにん:長男 
ウ 保佐人ほさにん:申立人もうしたてにん
エ  概要がいよう
 本人は1年前に夫を亡くしてから一人暮らしをしていました。以前から物忘れが見られましたが,最近症状が進み,買物の際に1万円札を出したか5千円札を出したか,分からなくなることが多くなり,日常生活に支障が出てきたため,長男家族と同居することになりました。隣県に住む長男は,本人が住んでいた自宅が老朽化ろうきゅうかしているため,この際自宅の土地,建物を売りたいと考えて,保佐開始ほさかいしの審判しんぱんの申立てをし,併せて土地,建物を売却することについて代理権付与だいりけんふよの審判しんぱんの申立てをしました。
 家庭裁判所かていさいばんしょの審理を経て,本人について保佐ほさが開始され,長男が保佐人ほさにんに選任されました。長男は,家庭裁判所かていさいばんしょから居住用不動産の処分についての許可の審判しんぱんを受け,本人の自宅を売却する手続を進めました。

 軽度の精神上の障害(認知症にんちしょう・知的障害ちてきしょうがい・精神障害せいしんしょうがいなど)により,判断能力はんだんのうりょくの不十分な方を保護・支援するための制度です。この制度を利用すると,家庭裁判所かていさいばんしょの審判しんぱんによって,特定の法律行為ほうりつこういについて,家庭裁判所かていさいばんしょが選任した補助人ほじょにんに同意権どういけん・取消権とりけしけんや代理権だいりけんを与えることができます(※)。ただし,自己決定の尊重の観点から,日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については,補助人ほじょにんの同意は必要なく,取消しの対象にもなりません。


※  補助人ほじょにんに同意権どういけんや代理権だいりけんを与えるためには,自己決定の尊重の観点から,当事者が,同意権どういけんや代理権だいりけんによる保護が必要な行為の範囲を特定して,審判しんぱんの申立てをしなければなりません。この申立ては,補助開始ほじょかいしの審判しんぱんとは別のものです。なお,補助ほじょに関するこれらの審判しんぱんは,本人自らが申し立てるか,本人が同意している必要があります。

ア  本人の状況:軽度の認知症にんちしょうの症状 
イ 申立人もうしたてにん:長男 
ウ 補助人ほじょにん:申立人もうしたてにん
エ  概要がいよう
 本人は,最近米を研とがずに炊いてしまうなど,家事の失敗がみられるようになり,また,長男が日中仕事で留守の間に,訪問販売員から必要のない高額の呉服を何枚も購入してしまいました。困った長男が家庭裁判所かていさいばんしょに補助開始ほじょかいしの審判しんぱんの申立てをし,併せて本人が10万円以上の商品を購入することについて同意権付与どういけんふよの審判しんぱんの申立てをしました。
 家庭裁判所かていさいばんしょの審理を経て,本人について補助ほじょが開始され,長男が補助人ほじょにんに選任されて同意権どういけんが与えられました。その結果,本人が長男に断りなく10万円以上の商品を購入してしまった場合には,長男がその契約けいやくを取り消すことができるようになりました。

 成年後見人等せいねんこうけんにんとうには,本人のためにどのような保護・支援が必要かなどの事情に応じて,家庭裁判所かていさいばんしょが選任することになります。本人の親族以外にも,法律・福祉の専門家その他の第三者や,福祉関係の公益法人こうえきほうじんその他の法人が選ばれる場合があります。成年後見人等せいねんこうけんにんとうを複数選ぶことも可能です。また,成年後見人等せいねんこうけんにんとうを監督する成年後見監督人せいねんこうけんかんとくにんなどが選ばれることもあります。

○ 親族以外の第三者が成年後見人せいねんこうけんにんに選任された事例

ア  本人の状況:統合失調症とうごうしっちょうしょう イ 申立人もうしたてにん:叔母おば ウ 成年後見人せいねんこうけんにん:司法書士しほうしょし
エ  成年後見監督人せいねんこうけんかんとくにん:社団法人成年後見しゃだんほうじんせいねんこうけんセンター・リーガルサポート
オ  概要がいよう
 本人は20年前に統合失調症とうごうしっちょうしょうを発症し,15年前から入院していますが,徐々に知的能力が低下しています。また,障害認定1級を受け障害年金から医療費が支出されています。本人は母一人子一人でしたが,母が半年前に死亡したため,親族は母方叔母おばがいるのみです。亡母が残した自宅やアパートを相続し,その管理を行う必要があるため,母方叔母おばは後見開始こうけんかいしの審判しんぱんの申立てを行いました。


 家庭裁判所かていさいばんしょの審理を経て,本人について後見こうけんが開始されました。そして,母方叔母おばは,遠方に居住していることから成年後見人せいねんこうけんにんになることは困難であり,主たる後見事務は,不動産の登記手続とその管理であることから,司法書士しほうしょしが成年後見人せいねんこうけんにんに選任され,併せて社団法人成年後見しゃだんほうじんせいねんこうけんセンター・リーガルサポートが成年後見監督人せいねんこうけんかんとくにんに選任されました。

ア  本人の状況:重度の知的障害ちてきしょうがい イ:申立人もうしたてにん 母 ウ 成年後見人せいねんこうけんにん:社会福祉士しゃかいふくしし
エ  概要がいよう
 本人は,一人っ子で生来の重度の知的障害ちてきしょうがいがあり,長年母と暮らしており,母は本人の障害年金を事実上受領し,本人の世話をしていました。ところが,母が脳卒中のうそっちゅうで倒れて半身不随はんしんふずいとなり回復する見込みがなくなったことから,本人を施設に入所させる必要が生じました。
 そこで,本人の財産管理と身上監護しんじょうかんごに関する事務を第三者に委ねるために後見開始こうけんかいしの審判しんぱんを申し立てました。
 家庭裁判所かていさいばんしょの審理を経て,本人について後見こうけんが開始されました。そして,本人の財産と将来相続すべき財産はわずかであり,主たる後見事務は,本人が今後どのような施設で生活することが適切かといった身上監護しんじょうかんごの面にあることから,社会福祉士しゃかいふくししが成年後見人せいねんこうけんにんに選任されました。