遺言は2種類ある。その効力は

遺言書とは、被相続人(死亡した方)が自分の死後に自分の財産を誰に対し、どのように分配するかなどを記載したものです。しかし、このような記載はどのような方法でもよいわけではなく、その書き方について、法律上、「法律の定める方式に従わなければ、効力を発揮しない」と明記されています。

(民法960条)

要約すると、遺言書にも効力を発揮するための決まりがあり、法律で決められた範囲内で書かれた遺言書でないと効力がないということです。そしてこの遺言書には【普通方式の遺言書】と、【特別方式の遺言書】の2種類の形式があります。

普通方式の遺言書とは?

もし、今、あなたが遺言書として何らかのイメージがあるかもしれません。

しかし、そのイメージは必ずしも正しくないかもしれません。

実はこの普通方式の遺言書には3つの書き方があり、

・自筆証書遺言

・公正証書遺言

・秘密証書遺言

この3パターンが存在します。

●自筆証書遺言

遺言者が、①書面に、②遺言書の作成年月日、遺言者の氏名、遺言の内容を、③自署(パソコンは不可)で記入し、④自身の印鑑(実印である必要はありませんが、実印のほうが確実です。)を押印する、という方式です。民法で定められている遺言の方式としては一番簡単なものになります。

遺言者が自分で字を書け、印鑑を所持しており、印を押す機会があれば、いつでも自由に作成が可能です。

●公正証書遺言

遺言者が、法に定められた手続きに従い、公証人(公権力を根拠に証明・認証する人)に対して遺言内容を伝え、公証人がこれを遺言書に落としこむ形で作成し、これを保管する、という方式です。幾つかの手順を踏んで作成するため、遺言書の作成には時間がかかりますが、遺言書の真正性が問題となることがなく、遺言書の効力に後々疑義が生じないというメリットがある。

遺言書の効力としては自筆証書遺言と全く変わりませんが、効力の確実性という点ではより優れた方式です。

●秘密証書遺言

自筆証書遺言と公正証書遺言の中間ような遺言です。

遺言者が、①遺言内容(全文が自署である必要はない)に署名、押印し(実印である必要はないが、実印のほうが適切)、②当該遺言書を封筒に入れて封じ、封印に押印したものと同じ印章をしたうえ、③公証人にこれを提示して所定の処理をしてもらう、という方式です。

なお、普通方式の遺言書に関しては、この作成後にも幾つかのルールがあり、これを破ればその遺言書の効力は無効になる可能性があります。

特別方式の遺言書とは?

普通方式の遺言書とは少し違い、もうすぐ他界してしまうなどの緊急時である、船の事故で死亡する、伝染病などにかかり外界と隔離されている状態であるなどの特殊なケースに置かれた者が書く遺言書になります。(民法第983条)

この遺言書にも4つの形式があり、

・一般危急時遺言

・難船危急時遺言

・一般隔絶地遺言

・船舶隔絶地遺言

があります。また、少し特殊な遺言方法のため、下記のような規定があります。


遺言者が普通の方式によって遺言をすることができるようになった時から六箇月間生存するときは、その効力を生じない。
引用元:民法第983条|特別の方式による遺言の効力

●一般危急時遺言

疾病やその他の理由で死亡の危機に迫られている場合に、3名以上の証人の立会いの下で遺言をすることかできます。人によって状況は様々ですが、通常、死期が迫っていて自ら署名押印ができず、通常方式の遺言(例えば自筆証書遺言)を作成することが困難な場合に行う遺言書です。

したがって、遺言者による自署や書面作成は不要ですが、立会人の書面作成及び署名・押印は必要です。

●難船危急時遺言

遭難中の船舶の中で死亡の危機に迫られた場合に、証人2名以上の立会いの下で遺言をすることができます。この場合、遺言者の自署や書面作成は不要ですが、証人による書面作成及び署名・押印が必要です。

●一般隔絶地遺言

伝染病などのために、交通や外界との接触を断たれた場所にいる者が、警察官1名と証人1名以上の立会いの下で遺言をすることができます。この場合、遺言者の自署及び書面作成並びに立会人による署名・押印が必要です。

このような隔絶は、伝染病の場合だけでなく、

他の行政処分(懲役刑の宣告等)で隔離されている場合にも適応されます。

●船舶隔絶地遺言

船舶中におり外界から隔絶されている者は、船舶関係者1名及び証人2名以上の立会いの下で遺言をすることができます。この場合、遺言者の自署及び書面作成並びに立会人による署名・押印が必要です。

普通に生活し、寿命などで亡くなる場合は普通方式の遺言書によるべきであり、特別方式の遺言書はあくまでやむを得ない事情で書くケースです。

 

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