相続で配偶者が追い出される危険が有る場合の問題点

1.配偶者の居住権の保護

問題点:配偶者が家を追い出される

配偶者の片方が死亡した場合に、もう片方の配偶者は、今まで住んでいた家に引き続き住み続けることを希望するのが通常です。高齢になると、住みなれた家を離れて新しい場所で生活するのは、精神的にも肉体的にも負担ですので、できれば同じ家に住み続けたいところです。

ところが、配偶者ではなく別の相続人が家を相続した場合、配偶者はその家の所有者ではありませんので、その家に住む権利を失うことになります。もちろん、その家を相続した人が配偶者が住むことを許可してくれれば良いのですが、相続トラブルなどで争っている人が家を相続すると「出ていけ」と言って、追い出すことも少なくありません。身内を追い出すなんてひどいと思われるかもしれませんが、家族関係が希薄になっている日本では、現実に起こっていることです。

対策:配偶者の短期、長期の居住権を確保する

所有者でなくても家に住み続けられるように法律で「居住権」を認めてあげようということです。この居住権には「短期居住権」と「長期居住権」の2つの内容があります。

短期居住権

被相続人が亡くなってから遺産分割が終了するまでの短期間、居住する権利です。もともと、相続開始から遺産分割終了までの間は、相続財産は誰か一人のものではなく相続人全員で共有していますので、住んでいても追い出されることはなかったのですが、法律的には明確な権利のない状態でした。

生前から被相続人と一緒に住んでいた配偶者には、被相続人が亡くなってから一定期間(例えば1年間)は無償で住み続けることができるようにします。この間に得た利益については、遺産分割において控除の対象にはしないこととします。

長期居住権

遺産分割終了後も長期にわたって住み続ける権利です。短期居住権とは異なり無条件に認められるわけではなく、遺言で書かれているか、または遺産分割協議で合意があったときに、長期居住権が認められます。この長期居住権を金銭的価値に換算し、その分は配偶者の相続分から控除します。長期居住権について争いがあるときは家庭裁判所が判断します。

今後の課題点:費用負担、転貸など

短期あるいは長期にわたって配偶者が住み続ける場合、税金や家の修繕費用を、住んでいる配偶者かそれとも相続した所有者のどちらが負担するのかという問題があります。また、配偶者がその家を勝手に他人に貸してはいけない(転貸)、あるいは、勝手にその権利を他人に売ってはいけないということも考慮が必要です。

また、その家を相続した人から見れば、所有しているのにその家を自由に処分(売却・賃貸など)することができませんので、利益を得られないことになります。

もともと「居住権」とは、正式な用語ではなく、賃借権がなくなった後も、事実上継続して居住できる権利をいいます。たとえば、借り家に住んでいた人が亡くなった場合、一緒に住んでいた内縁の妻は相続権がありませんので、賃借権を相続できず、その家に住む権利を失うことになりますが、すぐに住む家を失ったら生活に支障が出ますので、ある程度の期間は住むことも認めてあげましょうというものです。

通常、「居住権」は短期間の臨時的な想定ですが、「長期居住権」は配偶者が亡くなるまでという設定もできますので、権利関係が長期にわたって複雑になる可能性があります。

一番良いのは居住権を考慮しなくていいように、住み続ける配偶者が家を相続することであり、被相続人が生前に気を配って遺言でそのように書いておくことが望ましいでしょう。

 

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