共同相続人の一人によ る預金口座の取引経過の開示請求はどうなるのでしょうか 銀行では相続人一人では駄目だと言われたこともあるのですが 事例解説

共同相続人の一人によ る預金口座の取引経過の開示請求

‘亡くなった父は、銀行に預金口座を設けていました。相続人は母、私、弟の3人いますが、

 

私が単独で、銀行に対し父の預金の取引経過を開示するよう求めることができるでしょうか。

 

①単独で、金融機関に対し、被相続人の預金に関する取引経過の開示を請求することができます。

預金者による取引経過の開示請請求権について

預金債権の相続

銀行預金等の金銭債権は、分けて支払いをうけることができるという意味で可分債権とりいます。

 

この可分債権は、相続が開始されると同時に法律上当恭介割され、客札続人が相続分に応じて権利を

 

取得するので、遺産分割の対象とならないと考えられています。この点については、前掲設問

 

「預金の相続は」を参照してください。金融機関に金銭を預け入れる預金契約の基本的な法的性質は、

 

消費寄託であると解されています。消費寄託というのは、寄託者が金銭等の代替物を受寄者に預け、

 

受寄者が預かった物と同種・同筆・同量の物を返還することを約する契約です。消費寄託の受寄者には、

 

委任の場合と異なり、寄託の内容を報告する義務はありません。預金契約が純粋に消費寄託の性質しか

 

有しないとすると、金融機関には取引経過を開示する義務はないと解される余地があります。

 

この点について、最高裁は預金契約は消費寄託の性質に加えて、委任ないし準委任の性質を有するとの前提に

 

立って、委任契約において受任者に求められる報告義務として、金融機関の開示義務が認められると判断しました。

預金者の共同相続人の一人による取引経過の開示請永預金契約者の共同相続人の一人が被相続人の

 

預金について取引経過の開示を単独で求めることができるかどうかについて考えたいと思います。

最高裁はこの点について、

 

「共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき、被相続人名義の預金口座について

 

その取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる」

 

と判断しました。
相続とは区別される預金契約上の地位にもとづいて、共同相続人の一人が単独で、

 

被相続人の預金の取引経過の開示請求ができると解されます。

 

 

 

 

銀行が貸金庫を解錠してくれない場合は

預金債権が可分債権であって、他の相続人の同意が得られない場合は、各相続人が相続分に応じて

 

権利を取得する場合であっても、また預金債権の全部が他のだれかに遺贈されている場合であっても、

 

預金債権の帰の作成を嘱託し、公証人の立会いを得て貸金庫を開扉することができます。

 

遺言書が発見された場合、その引取りについて銀行と協議するといいでしょう。

 

相続人による貸金庫の開扉、内容物の点検つ貸金庫契約は利用者と銀行との間の賃貸借契約と

 

考えられていますから、利用者の利用権 (賃借権)は相続の対象になります。したがって相続人全員の

 

同意もしくは立会いがあれば、銀行に対して貸金庫の開扉を求めて内容物

 

(ついて、銀行の実務は否定的な考え方を採っています。貸金庫を利用し内容物を引き取る権利についても

 

相続の対象になっている以上、遺産分劃協議を成立させて貸金庫の契約を相続する相続人を決めた上でないと、

 

開扉に応じないという考え方です。

 

内容物の出し入れについて銀行は立ち会わないという仕組みからいうと、やむを得ない扱いであるといえます。

公証人に対する事実実験公正証書の作成の嘱託

しかし、遺産分割協議の前提として貸金庫の中の遺産や遺言書の有無を調査することが必要になることも

 

よくあることです。そこで一部の相続人による貸金庫の開扉と内容物の点検を実現する方法として、

 

公証人に事実実験公正証書の作成を嘱託し、公証人立会いの下で貸金庫の開扉を得る方法があります。

 

事実実験公正証書というのは、公証人が見聞、体験した事実を公正証書として作成するもので、

 

貸金庫の内容物は事実実験公正証書に記載されます。したがって、事実実験公正証書が内容物の

 

明細についての証拠になりますので、他の相続人との間の紛争を防止する効果も期待できます。

 

銀行実務においても一部の相続人による開扉の場合にこの方法が採られているようです。

 

遺言書の内容の実現を進めることを妨げることはできないと考えられます。

貸金庫を開扉した結果、貸金庫の内容物の中に遺言書が発見された場合、一部の相続人であっても

 

遺言書の引取りを認めることが妥当だと考えられます。公正証書遺言を除く遺言書を発見したとぎは、

 

遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して検認を受げなければならず、これを怠ると過料に処せられる

 

ことになっています。また遺言書に遺産分割に関することが記載されているときは、遺言書が遺産分劃協議に優先します。

 

 

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