特別縁故者に対する財産分与
被相続人が死亡して相続が開始したが、相続人がいるのかいないのかはっきりじない場合を、
相続人不存在の場合といいます。Bには相続人がいないといいますが、戸籍上相続人となりうる者
がいないとしても、本当に相続人がいないとは限りません。そこで、相続人不存在の場合には、
利害関係人の請求によって、家庭裁判所が相続財産管理人を選任して、相続財産の清算手続を行います。
清算手続が終了し、相続人の不存在が確定した場合に、被相続人と生計を同じくしていた者、
被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者は、家庭裁判所に対し、
相続財産の全部または一部の分与を求めることができます。
が相続人なくして死亡したときは、その持分は他の共有者に属することになり、その拝命について
特別縁故者による分与の請求は認められないことになります。
他方、特別縁故者による財産分与を規定する民法958条の3が優先して適用されると、分与の請求が可能になります。
共有物について、民法255条は、共有者の1人が相続人なくして死亡したときは、
その持分は他の共有者に属すると規定しています。この民法255条が優先して適用されると、
本来国庫に帰属すべき相続財産の全部または一部を被相続人と特別の縁故があった者に分与する途を開き、
特別縁故者を保護するとともに、遺贈ないし死因贈与制度を補充する趣旨が含まれていること、
他方、民法255条は、相続財産が共有持分の場合に、相続人不存在により共有持分を国庫帰属とすると
国と他の共有者との間に共有関係が生じ、国としても財産管理上の手数がかかり、またそうすべき実益も
ないので設けられた規定であること、以上の利益衡量により民法958条の3が優先すると判断したものです。
したがって、特別縁故者による分与の申立てがない場合、あるいは申立てがなされても
家庭裁判所が分与を認めない場合には、共有持分は他の共有者に属することになります。
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