均分相続
現在の民法では、相続人となる者は次のように決められています。
まず配偶者は常に相続人になります。次に、被相続人に子があれば子が配偶者と
ともに相続人になります。子がいないときは直系尊属 (親、祖父母、曽祖父母
など)が、子も直系尊属もいないときは兄弟姉妹が、いずれも配偶者ととも
に相続人になります。
そして、それぞれの場合に、各相続人が相続する割合が決められており、
これを法定相続分といいます。たとえば、配偶者と子が法定相続人となる場
合の法定相続分は、配偶者2分のI、子2分のIとなります。そして子が複
数いる場合には、原則として子一人一人の相続分は平等になり、このことを
均分相続といいます。
摘出子と非嫡出子の法定相続分を区分することの違憲性
へ民法の改正により、摘出子の相続分と非嫡出子の相続分は、相等しいもの
とされました。これは、改正前の民法が非嫡出子の相続分を摘出子の相続分
の2分の1と定めていることについて、最高裁判所が、法の下の平等を定
める憲法14条1項に違反するという決定を出したことをうけてなされた改正
です。
改正後の規定は、平成25年9戸5日以後に開始した相続について適用され
ることになっています。しかし、最高裁判所で違憲判断が出された以上、そ
れ以前に開始した相続についても、摘出子と非嫡出子の相続分は相等しいも
のとする扱いが定着すると思われます。ただし、最高裁判所の判断が示す
ように、すでに遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなっ
た法律関係を覆すことはできないと思われます。
具体的相続分 法定相続分は特別の場合にはこれが修正されます
1つは、被相続人が遺言で、相続人の相続分を指定した場合であり、これ
を指定相続分といいます。
もうIつは、相続人の中に被相続人から生前贈与をうけたり、遺贈をうけた者
があるときは、この者がうけた利益を特別受益として、法定相続分から
差し引くことができます。また、相続人の中に、被相続人の財産の増加もし
くは維持に寄与した者があれば、相続財産から寄与分を差し引いたものを相
続財産とみなしたうえで、各相続人の本来の相続分を算定し、寄与をした者
については、これに寄与分を加えた額を相続分とします。このように、特別
受益や寄与分により修正された相続分を具体的相続分といいます。
長男であるからとか、跡取りであるからという理由で父の財産を全部相続
することはできません。子は均分相続により平等な相続分を有することが原
則です。しかし、子それぞれの具体的事情にかんがみて特別受益や寄与分を
考慮したうえで具体的相続分を考え、父の財産を相続することになります。
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